八代海に面した日奈久温泉は、1409年開湯と伝わる熊本県下で最も古いいで湯。
開湯にまつわるお告げ石が山側の高台にある眺めの良い温泉神社に祀られています。
特に明治時代から昭和にかけて栄え、温泉街は往時のまま時間が止まったかのような鄙びた風情で、まるで映画のセットのよう。

幸ヶ丘は1958年に旅館としてスタート、現在は立ち寄り湯のみの営業です。
立派な玄関を入ると、圧倒されるほど幅広い石造りの階段と歴史を感じさせる木の階段がお出迎え(裏山の斜面に合わせて造ったからとか)。
木造でガラスも昭和のまま、土壁やタイルの洗面所も良い味を出しています。

温泉神社の参道脇が源泉地で30mくらいしか引いておらず、掘削深度も68mと浅く、生まれたての新鮮な温泉を源泉かけ流し100%で、これでもかというくらいに贅沢に味わえます。

43.9℃のお湯がたっぷりなのでかなり熱めですが、このお湯がぐぅーっと体にしみ入ってたまらない!
弱アルカリ単純温泉ですが、しっかりとした硫化水素臭が感じられ、極小の気泡が浴槽全体に舞い、鮮度の良さを伝えています。

ヌルヌルつるつるとした浴感で、湯上りはお肌が気持ちよいほどしっとりとし、よく温まります。

男湯は昔のままの真っ白な御影大理石で、湯口は子供を乗せている鯉のぼり。
コイの口からドバドバとお湯が注がれています。

湯口には泉質の良い温泉の証拠である析出物がたっぷりで、常に洗い場へオーバーフロー。
ぬるぬるした湯と大理石の肌触りが絶妙です。

女湯はタイルで小ぶりですが、その分、滝のように勢いよく注がれるお湯がどんどんかけ流され、洗い場は常に湯の層から5mmほど満たされ、川のように流れています。

年季の入った家族風呂も床や浴槽は開業当時のままです。

日奈久温泉では市営浴場の東湯・西湯・ばんぺいの湯の他、民間の松の湯も立ち寄れます。
名物の「日奈久ちくわ」を食べるのも忘れずに!