霧島錦江湾国立公園にある栗野岳温泉は江戸時代には薩摩明礬を採掘し、明治時代から湯治場として利用され、西郷隆盛も滞在した地。
「南洲館」は秘湯の1軒宿で、裏手には九州一の噴気孔、八幡大地獄があります。
10分ほど登っていくとボコボコと至る所から泥と噴気が。
さらに進むと轟々と噴気が上がり、水蒸気などが立ち込めます。
思わず立ちすくんでしまうほどの恐ろしさ。
大迫力の自然エネルギーを間近に感じることが出来ます。

「竹の湯」はこの大地獄の源泉から湯口までのパイプの長さや山水によって温度調節。
泉温90℃、通常pH2.2ですが、1.8の強酸性になることも。

そこには鉱泥が沈殿していて混ぜると灰色に濁り、泥パックも出来ますが、皮膚の弱い方は要注意。
2~3月頃にどろどろした鉱泥が1番多くたまり、夏は透明に近くなります。

泉質は大変珍しい酸性・含鉄‐アンモニア‐硫酸塩泉で、手先から電気が走ったようにビリビリとし、皮膚にはピリピリとした刺激があります。
少しまろやかさを感じるものの、キュキュとした浴感。

なめてみると、この世の物とは思えない強烈な味。
レモンのような強い酸味、口の中を引っ張られるような強い収斂味、苦味、鉄味など複雑な味です。

天然の保湿成分・メタケイ酸も多く含まれており、湯上りはお肌が柔らかく、しっとりサラサラに。
温かさも保たれます。
お湯のパワー・刺激が強いので、長湯は控えたほうがよいでしょう。

もう1つの「桜湯」も自噴泉で、2本の源泉を混合したpH2.8の単純硫黄泉。
極小のパウダー状の湯の華が舞う穏やかなお湯です。

天然の蒸気を利用した蒸し湯もあります。

丸ごと1羽を温泉の噴気で2時間蒸して作る名物・蒸し鶏(要予約)はとても美味。
天然の味付けで臭みや脂っこさがなく、しっとりとしていてお箸でほぐれる柔らかさ。

大自然の恵みとエネルギーをダイレクトに感じられる秘湯中の秘湯です。