えびの高原とえびの市街の間にある上湯と下湯は市営で、歩いて15分ほど離れています。

江戸時代から利用され、かつては中湯もあったとか。上湯は征韓論に敗れて帰郷した西郷隆盛が狩りや湯を楽しみながら逗留し、風光明媚なこの温泉をいたく気に入ったと言います。

標高830m、霧島連山の白鳥山北麓にある上湯の露天風呂は絶景。えびの市街と九州山地を一望できる大パノラマが展開、山頂に着いた気持になり、思わず「ヤッホー」と叫びたくなります。

39~40℃のぬるめの湯にゆったり浸かって眼下を見下ろすと、心地よい風が吹き抜けていきます。あえて選ぶなら紅葉の時期がおすすめです。

裏山の地獄から自然湧出している貴重な温泉はpH3.6の弱酸性。
お肌を触るとキュッキュと引っかかる感じで、湯上りはさらっとしていますが、硫酸イオン独特の張り付くようなベタベタ感があります。
硫化水素臭があり、酸味と収斂味、少し鉄味も。

もう1つの名物が檜で造られた天然蒸し風呂。蒸し小屋の下が地獄になっており、その蒸気が浴舎に充満するという、とても贅沢でワイルドな蒸し湯です。
熱い場合は自分でバケツで水をまいて温度を調整するスタイル。

薄暗い室内に窓から光が差し込んで湯気を照らし神秘的です。
硫黄と檜の香りが漂い、心安らぐ‶おばあちゃんの家”の匂いにも似て郷愁を感じます。

水蒸気が充満しているので息苦しくなく、全身しっとり。
天然の地下水の水風呂もあり、サウナ好きでない私も、ここの蒸し風呂には足を運んでも入りたい!

併設の白鳥茶屋では湯気を利用した蒸し卵を自分で作れ、とても美味(野菜もOK)です。

下湯はスポーツを楽しめる広場やアスレチックもあるファミリー向けの施設。

400mほど離れた源泉地(地獄)から引湯する自然湧出泉で、広めの大浴場や庭園露天風呂、蒸し風呂があります。

2つの貸切風呂はバリアフリータイプで、身障者や高齢者への配慮も。