JR豊後竹田駅から車で20分、湯布院ICから50分。長湯温泉最上部の人里離れた一軒宿。
湯宿に進んでいくと、まずゴッテリとした巨大な析出物のおばけがお出迎え。
この時点ですでに良い温泉に出会えると、期待と興奮は最高潮に。
民家風の湯宿のあたりを見渡すと、田んぼやぬくもりを感じさせる湯治場風情が漂っています。
湯守をしているご主人(強面、頑固おやじ?お湯にかなりのこだわりを持ち、見た目とは裏腹に心根はとても優しい)が説明をしながら湯処まで案内してくれます。
浴室の扉を開けた時の感動と興奮は、今でも鮮明に覚えています。
黄土色の波を打つように凸凹した、鍾乳洞やトルコのパムッカレのような湯船や床、温泉成分でコーティングされた洗面器。
全て温泉成分がつくり出した見事な造形です。
川石で作った湯船は析出物で覆われ、全く姿が見えず。
触ってみるとザラザラしていたり柔らかかったり、土のような感触がとても気持ちいい。
湯船の中には黄金色に輝く美しいお湯が満たされています。
マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどのミネラルをたっぷり含み、少し熱めですが、お肌にすっとなじむ柔らかいお湯で、キュッキュッとした浴感。
ぼんやりとした裸電球の下、じ~んと体の奥底から頭の先まで薬効成分がしみ渡っていくような感覚。
エネルギーの強いお湯で、湯上りは心地よい疲労感が残ります。
炭酸水素イオン2760㎎、遊離二酸化炭素を792㎎含んでおり、清涼感がありながらポカポカ感は持続。
メタケイ酸235㎎、塩化物イオンや硫酸イオンもバランスよく含有している為、お肌も湯船のようにコーティングされ、かなりしっとりします。
併設の地質博物館には阿蘇山噴火の堆積物、地元鉱山の黄鉄鉱や蛍石、サハラ砂漠の砂やカッパドキア凝灰岩、パムッカレ温泉石など、山間の湯宿で太古のロマンを感じられます。
本来あるべき温泉の姿を語り継ぎたいと信念を貫いている湯守の想いが心底から感じられ、自然の恵みに感謝の念を抱く。そんな不思議な場所。
運が良ければ湯面に浮かぶパリパリの湯の華にも出会えます。