もしも、「今どこでも好きな場所で生活しても良い」と言われたら……、迷わず熊本県を選ぶでしょう。
雄大な自然に囲まれ湧水が豊富で、その自然の恵みをたっぷりと受けた瑞々しい野菜や果物、旨味の強いお米やお肉、新鮮な海鮮や乳製品まで……、素材本来の美味しさとエネルギーを吸収できる食の宝庫です。

また、城や社寺などの歴史的建造物や旧跡、先哲ゆかりの地や祭りと伝統芸能まで、私達日本人の原点を思い出させてくれる不思議な場所だなぁと感じています。

そして何より「火の国」と呼ばれるに相応しく温泉も豊富。
現在、熊本県は全国第5位の泉源数で、全国の泉源のおよそ20分の1が熊本県に存在します。
 湧出量はおよそ毎分14万リットルで全国第4位、温泉施設数も全国トップ10内(2016年10月現在)と、まさに湯水のごとく地球からの恵みが湧いているのです。

 それだけでも惹かれる要素満載ですが、ロケーションも素晴らしく、森の中に迷い込んだ気分になる山の温泉や、日頃の喧騒から解き放ちリゾート気分を味わえる海の温泉。
阿蘇の大自然を前に湯浴み出来る開放的な露天風呂。
長年地元の人たちに変わらず愛されてきた年季の入った内湯など、ロケーションもダイナミックで多岐に渡ります。

また、名湯だらけの九州の中でも熊本県は泉質も豊富で、私の知る限り10種類のうち8種類の泉質が存在しています。

温泉の特徴を表すpH値は、酸性から強アルカリ性まで幅広く揃っています。

女性の視点で熊本の温泉を見てみましょう。

平山温泉や山鹿温泉、菊池温泉などがある県北部は、上品な硫黄の香りがするヌルヌルの「アルカリ美人湯ロード」が続きます。

阿蘇周辺の温泉は濁り湯が多く、お肌がしっとり&ハリが期待できる、九州では珍しい「硫酸塩泉エリア」。

中でも、南小国には、狭いエリアに多彩な泉質が存在し湯巡りが楽しい黒川温泉。

足元から湧き出す歴史ある国宝級の硫黄泉、さらに小国のわいた温泉郷には、日本でも大変貴重な「青湯」と呼ばれるブルーの温泉まで目にすることが出来ます。

天草周辺は、海水のようなミネラルや塩分が濃い個性的なお湯が多いエリアです。

どうしてこんなに熊本には温泉のバリエーションが豊富なのか……。
それは、森林の多い熊本県には沢山の地下水が流れていること。
阿蘇山を中心とする火山性のマグマなどの熱源が存在すること。
そして、地震によって断層ができ、温泉が湧いてくる経路が無数にあることです。

数年前、予想しなかった大きな地震で温泉も建物も大きな被害を受けた熊本。
メディアを通じて流れてくる映像が全て信じられませんでした。
人々を癒し、楽しませてくれる多くの名湯が、「土砂に埋もれた」「お湯が出なくなった」と、悲しい知らせが次から次へと飛びこみ、温泉が傷付いていく姿を直視する度に、本当に心苦しくいたたまれない気持ちでした。

大好きな熊本が……。

しかし、実際に温泉旅館で働かれている方々にインタビューをしたり、立ち入り禁止区域に入り取材をしたりする中で、私の予想に反した答えが返ってきたのです。

熊本の人たちには、落ち込んでいるどころか「絶対に温泉を復活させてみせる」という強い信念と、温泉を守り続けていくことへの揺るぎない誇りがありました。
そこには、「全部無くなってリセット出来たのだから一からまた作り上げる創造が楽しい」と前向きな言葉と希望に満ちた目の輝きが。

「温泉という地球からの素晴らしい恩恵を受ける場所に生活をさせてもらっている分、自然の猛威とも共存共栄していくことは避けては通れない道。これまで何度も乗り越えきたから今がある」。この事を、温泉と共に暮らしている方々の姿から改めて教わりました。

熊本県の人たちはブレない芯があって凛としていて強くてカッコイイと尊敬の念を抱いたと同時に、熊本の人達なら大丈夫だなと大きな期待感へと変わりました。

被災した温泉地のみなさんは、一致団結して、苦難を1つずつ乗り越えてこられました。

きっと次は恩恵を受ける番。実際に震災前よりも温泉成分が良くなったり、湧出量が増えたり自噴したり、以前よりエネルギーが強くなっていると感じます。

これからも温泉は、私たちを癒し包み込み、辛く悲しいことは洗い流してくれます。
また新たに、温泉と共に歩み始める姿。心から応援しています!

■火の山温泉 どんどこ湯

3,000坪の広大な敷地には、内湯やジャグジー、庭園露天風呂などバラエティ豊富。
珍しい緑白色の美しい湯は、ハリや潤いを与えてくれる女性には嬉しいアンチエイジングの湯。
阿蘇郡南阿蘇村下野135-1
Tel:0967-35-1726
★営業時間★
11:00~22:00(受付は~21:00、食事処11:00~21:00、オーダーストップ20:00)
★休館日★
なし 
★料金★
大浴場 600円(~小学生300円)
画像出典『どんどこ湯』HP

■七水木温泉郷 
天然温泉家族湯 七城の森
ヌルヌルとした美肌泉質で気泡が舞うほどフレッシュなお湯は、古くなった角質や汚れをしっかりと落としてくれ、湯あがりはツルツルピカピカ。
深夜3時まで営業していて家族湯なのにリーズナブルなのも嬉しいです
熊本県菊池市七城町亀尾1491-1
Tel:0968-23-5888

■平山温泉 やまと旅館

ほんのりとした硫黄の香りに包まれ、肌にからみつくトロトロの極上湯。
緑に囲まれ、自然と一体化できる露天風呂は、時を忘れ癒されますよ。
美味しくてヘルシーな温泉水を使った豆腐料理も絶品です。
熊本県山鹿市平山211
TEL:0968-43-8255